餃子荘 ムロ (1)

なんか、手ごわそうだ。

そんな風に思って、はじめから続きモノにしておこう、ということで、タイトルに(1)と付けてみた。

何が手ごわいかって?

このお店、そのものが、である。

ホームページに「Since1954」、と書かれているから、1954年創業なのだと思う。

半世紀を越えている。

老舗だ。

むろん京都などに行けば、創業100年を超える日本料理店など珍しくないだろう。が、高田馬場という場所で、餃子一筋50余年。これは、相当なことだと思う。

もちろん高級店、というのとは違う。

しかし、老舗であることからくる、敷居の高さは、間違いなく存在する。

1階のカウンターに座ると、まわりは常連客ばかり、ということも。

人の家でご飯を食べている感覚に、少し近いかもしれない。

ネットを見れば、「小学生のときから食べている、ムロの味」みたいなことを書いている人もいる。

常連というより、岩室家の台所(のような場所)に、あがり慣れた人たち。

そんなお客たちが、少なからず存在する、という感触がある。

ただし、そうはいっても、店員と常連客がべったり慣れあい、といった、ありがちな状況には、絶対ならない。

お店の方々は、お客と、絶対的なある一線を引いている感じがする。

そのあたりに、お店のプライドのようなものを、ビンビン感じる。

そういったもろもろ、全部をひっくるめて、さりげなく敷居が高いのだ。

レストラン情報サイトのユーザーレビューを見ると、サービスを疑問視する声がある。

注文は、注文表に自分で書き付けなくてはならず、また、混んでいると、追加注文を受け付けてくれないときがある。

そして、その断り方が、わりとそっけない。

ビールは、小瓶しか置いていない。

などなど。

だからといって、この店に「サービスが悪い」という言葉が、当てはまるか。

いや、それは見当外れだろう。

行けば、普通の古びた中華料理屋さんで、値段もさほど高いわけでなく、誰でも楽しく普通に食事ができる、はずだ。

こう書くと、誤解されるかもしれないが、サービスがどうこう、という店じゃない。

まあ、レビュー投稿者の気持ちが、わからないではない。

評判の老舗であるという事前情報を得て、なにかしら、過剰に期待するものがあったのだろう。

とはいえ、その期待を、一般的に考えられているサービスの質、のようなものに求めるのが、見当違いなのである。

おそらく、そのあたりにも、さりげない敷居の高さ、というものが関係している。

私の場合、それは、さらに以下のようなことにも関係してくる。

つねづね、ある質問をしてみようと思っている。

が、小心者のため、なんとなく気後れしてしまって、結局、今のいままで聞きそびれている。

とくに、紹興酒で酔っ払ってしまうと、またにしよう、と思ったりして、それまでだ。

それは、

「バクト」って、何ですか?

という質問。

もちろんバクトが、モツ煮込みであることは知っている。行けば、注文するから。

そうではなくて、なぜ、モツ煮込みを「バクト」と呼ぶのか、その由来が知りたい。

そう。

料理名の由来を知りたくなる。

そんな店なのだ。

なのに、その質問が、なんとはなしに、しにくい。

そんな店でもあるのだ。

この店の、敷居の高さを感じるのは、そんなときだ。

(この項、続く)
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by aroyaroy | 2009-09-01 18:51 | 高田馬場


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