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プリックタイ ~非マイペンライな丁寧仕事が生み出す美味~

ちょっと、行きにくい場所にあるタイ料理店。

最寄は都電荒川線、学習院下駅。

地域のカテゴリーとしては、高田馬場か、目白か、迷ったが、馬場に入れた。

歩いてみると、高田馬場駅からも、目白駅からも、けっこうある。

しかし、わざわざ歩いて行っても惜しくない、美味しさがある。

先日、食べたもの。

鶏の空揚げのような料理(確か「鶏の胡椒炒め」みたいな料理名がついていた気がするが、スパイシーなから揚げのようだった)と、自家製のタイソーセージのネーム、ソムタム(未熟パパイヤのサラダ)、カオニャオ(もち米)、目玉焼きのせ鶏バジル炒めご飯、などなど。

それに、ビアシン、ビアチャン(タイビールの、シンハー・ビールと、チャーン・ビールのこと。タイの人は、このように呼ぶ)。

ネームは、ヤム(あえもの)にしてもいいし、焼いただけでもいい、とのことなので、焼いただけのにしてもらった。ネーム特有の発酵による酸味もしっかりあり、青唐辛子やピーナッツ、生野菜のつけあわせと食べると美味しい。

辛さは、全体に辛すぎず、かといって、手加減し過ぎず。

「辛さ控えめにしますか? それとも普通?」と訊かれ、「普通で」とリクエストしたソムタムだけが、ピリリと辛い。

盛りつけも丁寧。料理も丁寧。

おそらく、化学調味料など使わないようにしてるのでは?

全体的に、コントロールされている感じがする。

この規模のタイ料理店って、手癖で料理が作れてしまうようなタイ人の料理人さんがいて、それぞれ店によって、イマイチだったり、そこそこ美味しかったり、天才的だったり、いろいろなんだけれども、いずれにしても厳密にレシピなんかを決めているわけではないのが常で、たまに訪問すると、いきなりブレブレに味が変わってしまっていた、なんてことが往々にしてある。

もちろん統計的な裏づけなどがあるわけでなく、個人的なタイ料理店に対するイメージに過ぎないが。

マイペンライ精神、とでもいおうか。

マイペンライとは英語の Never mind のような意味のタイ語で、「気にしないで」とか「問題ない」ってことだが、根底には「細かいこと気にしてると疲れるし、まあまあ、アバウトで行こうよ」的なニュアンスがあって、南国的なおおらかさを感じてしまう。

ま、お客の立場からすると、あまりにマイペンライでは困ることもあったりするが。

しかし。

ここに限っては、そういうことがなさそう。

マイペンライではない味、とでも言おうか。

タイ料理店らしからぬ、仕事の丁寧さを感じる。

気になって、ホームページをチェックしてみれば、シェフはタイや日本以外にも、モルディブ、オーストラリア、バリ島で料理人としての経験があると書かれている。やはり、海外での経験が多いと、多少、その辺りの感覚が違ってくるのかもしれない。

もちろん、マイペンライなタイ料理店が、必ずしも悪いわけではないが。

とにかく、ここのお店は丁寧な仕事の美味しいタイ料理が食べられる、ということで、結論としては、かなりオススメです!

新目白通りと明治通りが交わる高戸橋交差点近くにある大正製薬本社の裏手。

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by aroyaroy | 2009-10-29 01:39 | 高田馬場

ル・モンサンミシェル Le Mont St Michel (2) ~1階と2階の違い、かもしれない~

オープンしたばかりのフレンチ・クレープリー。

「ル・モンサンミシェル Le Mont St Michel ~フレンチクレープリーのトラディション&クリエイション~」で初訪問の好印象を熱烈に綴ったが、2回目の訪問で多少異なる印象を抱いた。

夜の20時ぐらいに訪問。

1階のカフェ的なフロアの、奥のほうの席に案内される(前回は2階だった)。

前回、紹介した創作ガレットシリーズから、赤身のマグロ+グレープフルーツ+バジルオイルのガレットを注文。

ここのメニューには、楽しいギミックがある。

創作ガレット、創作クレープ一品一品に対して、マリアージュを考え選ばれた飲み物が、赤ワイン、白ワイン、ロゼ、シードルなど、それぞれ提案してある。

上記ガレットにはロゼワインが合わせてあった。

こういうの、かなり好きだ。

もちろんセットで注文。

しかし、「ロゼを切らしているので、同じブランドの白でもいいか?」と言われる。

メニュー作者がジャストなマリアージュを考えてリストしているのだろうし、それに面白味を感じて注文しているのだから、ロゼを白に、というのはどうだろう。

「うーん」と唸っていたら、「お魚なので、白は合うと思います」と促され、言われるまま白を注文。

赤身のマグロは、身の3分の1くらいの部分にだけに火を入れた、ほとんど生の状態。グレープフルーツとの相性が面白い。ただ、鉄っぽい味わいのある生の赤身マグロには、ロゼ、もしくは、軽い赤のほうが合う。

その日は、雨も降る今年の10月にしては寒い日だった。

入り口が開け放してある。

「寒いです」とお店に伝えたが、閉めてくれない。

外の目白通りを消防車が何台も通った。さわがしい。

前菜に海の幸のサラダ、ワインやシードルをグラスで4杯、食事ガレット2品、デザートのクレープ2品、エスプレッソ2杯で、会計が1万円弱。

もうすこし、エレガントなサービスと環境で食事したかった。

1階と2階の違い、かもしれない。

前回は、レストラン的なスペースの2階に案内され、たいそう良い気分を味わった。

ほんとうに、良い気分だった。

連れを待つ間、ひとりのとき、気さくなフランス人男性と、日本人女性がお店に関する質問に答えてくれたり、他店の話題や世間話にも応じてくれて、気持ちがよかった。

注文を受けたり、料理の説明やサーブにもまったくストレスがなく、満足だった。

個人的な感想だが、カジュアルエリアとして位置づけられている1階の存在を、見直すべきだと思う。

今回、入り口を閉めてくれなかったのは(閉めることができなかったのは)、1階エントランスの構造上の問題が多少関係している。

構造うんぬんは置くとしても、入り口の概観が、ファーストフード的というか、お店の内容に比して、少々安っぽく思える。

コーヒー啜りながらノートパソコン、という客が入ってくる。

ディナータイムなのに。

お店も、そういう客を拒否しない。

その辺を、考え直すべきだと思う。

このお店を利用する人たちへのアドバイスとしては、食事ならば、絶対に2階をリクエストすべき。

あと、気になったのは、店内の音楽が80年代ヒットポップスであること。有線?

「中国酒家 貘」では楽しかったが、ここではどうか。

「ひさびさにスクリッティ・ポリッティ聴いた!」とか、喜んでみたけど、やはり合わない気がする。

でも、料理は良い!

基本的に大好きな店なので、また食べに行くのは間違いない。
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by aroyaroy | 2009-10-24 23:12 | 目白

エーグル・ドゥース (1) ~ショップアーティテュードにおけるAigre(酸)とDouce(甘)をめぐって~

目白のエーグルドゥースといえば、スイーツ愛好家で知らなければもぐり、といわれるほど、都内屈指のパティスリーである。

店名のエーグル・ドゥースは、

Aigre=酸っぱい

Douce=甘い

で、甘酸っぱい、という意味。

スイーツのスイーツたる甘味と、それをおぎなう果物などの酸。このふたつが融合することで、奥行きある美味が生まれる、というイメージが浮かぶ。

あと、甘酸っぱい、といえば初恋かな(照)。

いやいや。

実は、初恋なんてヤワなイメージではなく、「Douce=甘」+「Aigre=酸」の組み合わせに込められているのは、「柔らかいようでいて、刺を含んだ」というようなニュアンスなんだとか(某サイトの解説文から)。

なるほど。

それは、フレンチパティスリーのお手本のような過不足ないエスプリに満ちた美しいフロアに、パティシエ寺井氏の眼光鋭いまなざしが、キッチンからガラス越しに注がれていたりする瞬間に、多少感じることがある。

厳しそうな人、と感じる。

ほのかな緊張感。

さらに、ショップの女の子たちが、なぜか、ほとんどスマイルしないのも、この店を利用したとき印象に残る特徴のひとつで、うっすらとAigreを感じさせる要因か。

嫌味か、こういう言い方(苦笑)。

いやね、ここに限って本当、そういうの全然気にならないし、お店は相当洒落ていているし、スイーツ最高だし、これでいいと思う。

店内の滞在感も、すごぶる快適で、買って帰っても、サロンで食べても、つねになんのストレスも感じずに楽しめる。

そもそも、目白駅からずいぶん歩く、この場所に、つねにこれだけの客を集めているのだから、お店の基本的な魅力と言うものが、推し量れよう。

余談ですが、ウチは目白駅に行くより、近いですけどね(自慢)。

あと、想像するに、ショップアーティテュードとして、「甘い」や「柔らかい」だけでなく、例えば「刺」や、「厳しさ」、あるいは「毒」とか、「アイロニー」、などを含んでいなければ本物ではない、アンビバレンスのなかにこそ本質が存在する、といった、哲学のようなものが存在するのかもしれない。

フランス人や、フランスという国、もしくはフランスの文化など全般に、そういったセンスを感じることがありませんか。

もちろん、それは肝心の商品が優れていなければ、成立しないのだが。

それに関して、ここは、誰だって、もう文句がないだろう。

今秋味わったトルシュ・オー・マロンも最高。

マロンのクリームが滋味深い。

でも実は、主役のマロンクリーム支えるシャンティクレームの、さらに下にあるメレンゲのサックサク感。このサックサク感が、トルシュ・オー・マロンの命かもしれない。

作り置きしておくと、クリームが劣化するだけでなく、メレンゲがふやけるので、注文してから作るのだと思う。

とても美味しい。

とても美味しいのだけれど。

その日は、どういうわけか。

やっぱり、ささやかなAigreを味わってしまうことに、なるのであった。

その日は、店内のカフェスペースで、エスプレッソとともにトルシュ・オー・マロンをいただいていた。

連れが、うかつなことをした。

スイーツがサーブされたと同時に、デジタルカメラをカバンから取り出したのである。

その瞬間。

まだ撮影の構えもしていないのに、そもそも電源も入れていないのに、カメラを取り出しただけで、「店内撮影禁止ですんで」と、ショップの女の子にサクッとクギをさされてしまったのである。

そう。

ここは店内撮影禁止なのだ。

壁にそうしたサインが貼ってあるし、だいたい、それは前から知っていた。

なので、100%こちらに否がある。

が、そうはいっても、こういうのって、Aigreなものである。

そんな気持ちを紛らわすために、店内撮影禁止問題について、考えを巡らすことにした。

そもそも、飲食店は、なぜ店内撮影を禁止にするのだろうか?

(この項、つづく)

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by aroyaroy | 2009-10-19 01:27 | 目白

近江牛 亀屋 ~美味しい肉のためなら、待てる~

飲食店ではなく、いつも利用している、目白通りのお肉屋さん。

土曜日や平日夕方にでも行けば、店内が注文待ちの客でいっぱいになっている。

その理由は。

肉が美味しいから。

あたりまえか。

牛は、看板にもなっている近江牛。鶏は、大山鶏など。

全体的に、かなり値段が安いと思う。

そして、間違いなく言えるのは、商品を美味しく提供するために、売るのに時間がかかっていること。

だから、待ちの客が出てしまう。

肉は、基本的に注文を受けてから切る。

お店のご主人と、奥さんであろう女性が、淡々と仕事をこなしていく。

このカタマリの、この脂の少な目のあたりを、このくらいの大きさで、何グラム、お願い。

ほとんどの客が、当たり前のように、そんなワガママなリクエストをしている。

挽き肉は、注文してから挽いてくれることもある。

コロッケなどの揚げ物は、注文してから揚げてくれる。

注文してからはじまる仕事を待っていると、いつの間にか、店内が客でいっぱいだ。

時間はかかるが、美味しい肉をゲットしようという共通の目的で待っている客同士の連帯感のようなものが生まれ(?)、なんとなく店内が静かな熱気に満ちていたりするのが、案外いい。

あと、お店特製のビーフカレーが美味しい。

和牛しか扱っていないから、このカレーも和牛のビーフカレーですよ、きっと。

お肉を買いに行くと、ついつい、このビーフカレーを一緒に買ってしまうんだよなー。

目白通り、目白駅方面から歩いて、パティスリー「エーグルドゥース」の数軒先。スーパー「ピーコック」の向かい。

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by aroyaroy | 2009-10-18 23:42 | 目白

ラ・ヴィネリア La Vineria ~イタリア好きによるイタリア好きのための店~

先日報告した、新開店のクレープリー「ル・モンサンミシェル」。

そして、あいかわらず大評判のパティスリー「エーグルドゥース」。

この2店の存在により、フランス化著しい目白ウェストエリアであるが、実はイタリア勢も負けていない。

両店と同じく、目白通りに店をかまえるワインバー/トラットリア「ラ・ヴィネリア」は、案外いい。

まず、カメリエーレがみな、間違いなく、全員イタリア好き。

別に聞いて確かめたわけじゃないが、そういうオーラを漂わせた人ばかりである。

ボスと思しき男性の、イタリア外遊のスナップショットが、壁にあったりする。

店内はワインボトルで満ちあふれているが、本にも目が行く。

ガンベロロッソの『ヴィーニ・ディタリア』やら、『イ・ヴィーニ・ディ・ヴェロネッリ』といった権威あるイタリアンワインガイドから、講談社刊『世界の名酒辞典』までが蔵書される本棚を見ると、「好きなんだなー」と思わずにいられない。

店は、まず入り口付近がバール、奥に小部屋と、大きめのホールがひとつずつ。

大きめホールは、席の配置が面白い。

階段で上がっていく高い位置にテーブルがふたつほど(2階というわけではない。どんな構造かうまく説明できず失礼)。これがなんとなく、イタリアにありそうな感じ。ここに座ると下のテーブルが見おろせて、不思議に楽しいディナーとなる。

先日は手打ちパスタのトロフィエや、牛ヒレに添えられたドカンと大きいポルチーニのソテーが美味しかった。

夜中の2時までやっていて、深い時間になると、バールが酒の好きな常連で埋まる。

そんな時間帯、別の店でかなり食べてきちゃったので、ドルチェとエスプレッソだけ。そんな利用の仕方をしても、笑ってもてなしてくれる。

コースメニューはなかったはずだが、小ポーションで次々おまかせ料理を平らげていく客がとなりに。顔にさえなれば、かなり融通のきく店と見た。

目白通り、目白駅から歩いてリッチモンドホテルを越え、まだ少し行ったあたり。

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by aroyaroy | 2009-10-09 01:21 | 目白

ル・モンサンミシェル Le Mont St Michel ~フレンチクレープリーのトラディション&クリエイション~

9月初旬、すごい店がオープンした!

目白にフランスの風を吹かせる、素晴らしく存在感のある一軒。

店名のモンサンミシェルは、言わずと知れたノルマンディー地方の世界遺産だが、そば粉のガレット&クレープで有名なブルターニュ地方にもほど近い。

もちろん、モンサンミシェル界隈にも、たくさんのガレット&クレープ専門店があるそうで、それにあやかったネーミングというわけ。とにかく、かなり本格的なフレンチ・クレープリーなのである。

クレープリーといえば神楽坂の某店と、その支店を思い浮かべるが、はっきり言って、それを超える存在になっちゃう可能性も。

まず、入店して驚くのは、スタッフがフランス人だらけ(若いイケメン男子含む)。

訪問時の日本人スタッフは、アルバイトの女の子(フレンドリーなカワイコちゃん)がひとりだけだった。

ノルマンディーの田舎家をモダンにアレンジしたという内装と相まって、馬場目白界隈としては、かなり特別な空間が実現してしまっている。

1階は気軽なカフェ、2階はよりレストラン的なイメージ。

ワインリストを開く。

リスト先頭、ワインより先に目に入るのが、ブルターニュ&ノルマンディーの名物、シードル。8銘柄、14種類のシードルが、ボトルもしくはグラスで楽しめるのだが、おそらく、ほかのレストランやワインショップにないものばかりだと思う。ビオ(有機農法)のシードルもリストされていて、これが抜群。

そして、肝心のガレット。

定番中の定番、ガレットコンプレ(目玉焼きとチーズとハムのガレット)は予想通りに美味だったが、それより「へぇー!」と感心したのが、シェフオリジナルの創作ガレット。

今回注文したのは、

サーモン

白身魚

アーティチョークのピュレ

トマトのソルベ

のガレット。

各素材のマリアージュがばっちり美味であっただけでなく、サーモンの火入れがごくごくレアな状態に仕上げられていたり、暖かいピュレと冷たいソルベをぶつけていたりと、かなりヌーベルかつモダンな独創が込められている。

このあたり、フランス人シェフの意気込みを感じませんか。

もし、2種類のガレットを注文するのであれば、トラディション&クリエイションの2方向味わってみることを、ぜひオススメする。

日本語の堪能なフランス人スタッフに聞けば、メディアの露出はまだまだ控えめに、特にテレビとかは……とのことだった。

とはいえ、訪問当日は『ブルータス』が取材に来ちゃってたらしい。

雑誌とはいえ、それなりに影響力のある媒体で紹介されれば、客が殺到して、気軽にプラっと通えなくなっちゃうかもしれない。

そんな風に心配しちゃうほど、近所にオープンして「やったー!」という、お店。

目白駅より徒歩30秒。駅すぐの「ZOKA COFFEE」より、目白通り沿い2軒ほど先。

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by aroyaroy | 2009-10-01 01:08 | 目白