エーグル・ドゥース (1) ~ショップアーティテュードにおけるAigre(酸)とDouce(甘)をめぐって~

目白のエーグルドゥースといえば、スイーツ愛好家で知らなければもぐり、といわれるほど、都内屈指のパティスリーである。

店名のエーグル・ドゥースは、

Aigre=酸っぱい

Douce=甘い

で、甘酸っぱい、という意味。

スイーツのスイーツたる甘味と、それをおぎなう果物などの酸。このふたつが融合することで、奥行きある美味が生まれる、というイメージが浮かぶ。

あと、甘酸っぱい、といえば初恋かな(照)。

いやいや。

実は、初恋なんてヤワなイメージではなく、「Douce=甘」+「Aigre=酸」の組み合わせに込められているのは、「柔らかいようでいて、刺を含んだ」というようなニュアンスなんだとか(某サイトの解説文から)。

なるほど。

それは、フレンチパティスリーのお手本のような過不足ないエスプリに満ちた美しいフロアに、パティシエ寺井氏の眼光鋭いまなざしが、キッチンからガラス越しに注がれていたりする瞬間に、多少感じることがある。

厳しそうな人、と感じる。

ほのかな緊張感。

さらに、ショップの女の子たちが、なぜか、ほとんどスマイルしないのも、この店を利用したとき印象に残る特徴のひとつで、うっすらとAigreを感じさせる要因か。

嫌味か、こういう言い方(苦笑)。

いやね、ここに限って本当、そういうの全然気にならないし、お店は相当洒落ていているし、スイーツ最高だし、これでいいと思う。

店内の滞在感も、すごぶる快適で、買って帰っても、サロンで食べても、つねになんのストレスも感じずに楽しめる。

そもそも、目白駅からずいぶん歩く、この場所に、つねにこれだけの客を集めているのだから、お店の基本的な魅力と言うものが、推し量れよう。

余談ですが、ウチは目白駅に行くより、近いですけどね(自慢)。

あと、想像するに、ショップアーティテュードとして、「甘い」や「柔らかい」だけでなく、例えば「刺」や、「厳しさ」、あるいは「毒」とか、「アイロニー」、などを含んでいなければ本物ではない、アンビバレンスのなかにこそ本質が存在する、といった、哲学のようなものが存在するのかもしれない。

フランス人や、フランスという国、もしくはフランスの文化など全般に、そういったセンスを感じることがありませんか。

もちろん、それは肝心の商品が優れていなければ、成立しないのだが。

それに関して、ここは、誰だって、もう文句がないだろう。

今秋味わったトルシュ・オー・マロンも最高。

マロンのクリームが滋味深い。

でも実は、主役のマロンクリーム支えるシャンティクレームの、さらに下にあるメレンゲのサックサク感。このサックサク感が、トルシュ・オー・マロンの命かもしれない。

作り置きしておくと、クリームが劣化するだけでなく、メレンゲがふやけるので、注文してから作るのだと思う。

とても美味しい。

とても美味しいのだけれど。

その日は、どういうわけか。

やっぱり、ささやかなAigreを味わってしまうことに、なるのであった。

その日は、店内のカフェスペースで、エスプレッソとともにトルシュ・オー・マロンをいただいていた。

連れが、うかつなことをした。

スイーツがサーブされたと同時に、デジタルカメラをカバンから取り出したのである。

その瞬間。

まだ撮影の構えもしていないのに、そもそも電源も入れていないのに、カメラを取り出しただけで、「店内撮影禁止ですんで」と、ショップの女の子にサクッとクギをさされてしまったのである。

そう。

ここは店内撮影禁止なのだ。

壁にそうしたサインが貼ってあるし、だいたい、それは前から知っていた。

なので、100%こちらに否がある。

が、そうはいっても、こういうのって、Aigreなものである。

そんな気持ちを紛らわすために、店内撮影禁止問題について、考えを巡らすことにした。

そもそも、飲食店は、なぜ店内撮影を禁止にするのだろうか?

(この項、つづく)

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# by aroyaroy | 2009-10-19 01:27 | 目白

近江牛 亀屋 ~美味しい肉のためなら、待てる~

飲食店ではなく、いつも利用している、目白通りのお肉屋さん。

土曜日や平日夕方にでも行けば、店内が注文待ちの客でいっぱいになっている。

その理由は。

肉が美味しいから。

あたりまえか。

牛は、看板にもなっている近江牛。鶏は、大山鶏など。

全体的に、かなり値段が安いと思う。

そして、間違いなく言えるのは、商品を美味しく提供するために、売るのに時間がかかっていること。

だから、待ちの客が出てしまう。

肉は、基本的に注文を受けてから切る。

お店のご主人と、奥さんであろう女性が、淡々と仕事をこなしていく。

このカタマリの、この脂の少な目のあたりを、このくらいの大きさで、何グラム、お願い。

ほとんどの客が、当たり前のように、そんなワガママなリクエストをしている。

挽き肉は、注文してから挽いてくれることもある。

コロッケなどの揚げ物は、注文してから揚げてくれる。

注文してからはじまる仕事を待っていると、いつの間にか、店内が客でいっぱいだ。

時間はかかるが、美味しい肉をゲットしようという共通の目的で待っている客同士の連帯感のようなものが生まれ(?)、なんとなく店内が静かな熱気に満ちていたりするのが、案外いい。

あと、お店特製のビーフカレーが美味しい。

和牛しか扱っていないから、このカレーも和牛のビーフカレーですよ、きっと。

お肉を買いに行くと、ついつい、このビーフカレーを一緒に買ってしまうんだよなー。

目白通り、目白駅方面から歩いて、パティスリー「エーグルドゥース」の数軒先。スーパー「ピーコック」の向かい。

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# by aroyaroy | 2009-10-18 23:42 | 目白

ラ・ヴィネリア La Vineria ~イタリア好きによるイタリア好きのための店~

先日報告した、新開店のクレープリー「ル・モンサンミシェル」。

そして、あいかわらず大評判のパティスリー「エーグルドゥース」。

この2店の存在により、フランス化著しい目白ウェストエリアであるが、実はイタリア勢も負けていない。

両店と同じく、目白通りに店をかまえるワインバー/トラットリア「ラ・ヴィネリア」は、案外いい。

まず、カメリエーレがみな、間違いなく、全員イタリア好き。

別に聞いて確かめたわけじゃないが、そういうオーラを漂わせた人ばかりである。

ボスと思しき男性の、イタリア外遊のスナップショットが、壁にあったりする。

店内はワインボトルで満ちあふれているが、本にも目が行く。

ガンベロロッソの『ヴィーニ・ディタリア』やら、『イ・ヴィーニ・ディ・ヴェロネッリ』といった権威あるイタリアンワインガイドから、講談社刊『世界の名酒辞典』までが蔵書される本棚を見ると、「好きなんだなー」と思わずにいられない。

店は、まず入り口付近がバール、奥に小部屋と、大きめのホールがひとつずつ。

大きめホールは、席の配置が面白い。

階段で上がっていく高い位置にテーブルがふたつほど(2階というわけではない。どんな構造かうまく説明できず失礼)。これがなんとなく、イタリアにありそうな感じ。ここに座ると下のテーブルが見おろせて、不思議に楽しいディナーとなる。

先日は手打ちパスタのトロフィエや、牛ヒレに添えられたドカンと大きいポルチーニのソテーが美味しかった。

夜中の2時までやっていて、深い時間になると、バールが酒の好きな常連で埋まる。

そんな時間帯、別の店でかなり食べてきちゃったので、ドルチェとエスプレッソだけ。そんな利用の仕方をしても、笑ってもてなしてくれる。

コースメニューはなかったはずだが、小ポーションで次々おまかせ料理を平らげていく客がとなりに。顔にさえなれば、かなり融通のきく店と見た。

目白通り、目白駅から歩いてリッチモンドホテルを越え、まだ少し行ったあたり。

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# by aroyaroy | 2009-10-09 01:21 | 目白

ル・モンサンミシェル Le Mont St Michel ~フレンチクレープリーのトラディション&クリエイション~

9月初旬、すごい店がオープンした!

目白にフランスの風を吹かせる、素晴らしく存在感のある一軒。

店名のモンサンミシェルは、言わずと知れたノルマンディー地方の世界遺産だが、そば粉のガレット&クレープで有名なブルターニュ地方にもほど近い。

もちろん、モンサンミシェル界隈にも、たくさんのガレット&クレープ専門店があるそうで、それにあやかったネーミングというわけ。とにかく、かなり本格的なフレンチ・クレープリーなのである。

クレープリーといえば神楽坂の某店と、その支店を思い浮かべるが、はっきり言って、それを超える存在になっちゃう可能性も。

まず、入店して驚くのは、スタッフがフランス人だらけ(若いイケメン男子含む)。

訪問時の日本人スタッフは、アルバイトの女の子(フレンドリーなカワイコちゃん)がひとりだけだった。

ノルマンディーの田舎家をモダンにアレンジしたという内装と相まって、馬場目白界隈としては、かなり特別な空間が実現してしまっている。

1階は気軽なカフェ、2階はよりレストラン的なイメージ。

ワインリストを開く。

リスト先頭、ワインより先に目に入るのが、ブルターニュ&ノルマンディーの名物、シードル。8銘柄、14種類のシードルが、ボトルもしくはグラスで楽しめるのだが、おそらく、ほかのレストランやワインショップにないものばかりだと思う。ビオ(有機農法)のシードルもリストされていて、これが抜群。

そして、肝心のガレット。

定番中の定番、ガレットコンプレ(目玉焼きとチーズとハムのガレット)は予想通りに美味だったが、それより「へぇー!」と感心したのが、シェフオリジナルの創作ガレット。

今回注文したのは、

サーモン

白身魚

アーティチョークのピュレ

トマトのソルベ

のガレット。

各素材のマリアージュがばっちり美味であっただけでなく、サーモンの火入れがごくごくレアな状態に仕上げられていたり、暖かいピュレと冷たいソルベをぶつけていたりと、かなりヌーベルかつモダンな独創が込められている。

このあたり、フランス人シェフの意気込みを感じませんか。

もし、2種類のガレットを注文するのであれば、トラディション&クリエイションの2方向味わってみることを、ぜひオススメする。

日本語の堪能なフランス人スタッフに聞けば、メディアの露出はまだまだ控えめに、特にテレビとかは……とのことだった。

とはいえ、訪問当日は『ブルータス』が取材に来ちゃってたらしい。

雑誌とはいえ、それなりに影響力のある媒体で紹介されれば、客が殺到して、気軽にプラっと通えなくなっちゃうかもしれない。

そんな風に心配しちゃうほど、近所にオープンして「やったー!」という、お店。

目白駅より徒歩30秒。駅すぐの「ZOKA COFFEE」より、目白通り沿い2軒ほど先。

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# by aroyaroy | 2009-10-01 01:08 | 目白

傘亭 (3) ~呑みたくなる、お腹がすいてくる品書きの並び~

シルバーウィークあたりから無事再開。

連休中に訪問したが、以前同様の美味だった。

もろみ豆腐を、ひと舐め。

獺祭(だっさい)磨き三割九分を、ちびりと。

しあわせ~。

もろみ豆腐は、豆腐の味噌漬けだが、もうほとんどチーズというか、酒のアテとして最高。

もともと、腐乳などが好きだが、これはもっとマイルドで塩気も少なく、独特の旨みがあってクセになる。

つけあわせの、きゅうりが美味しい。

カキンと冷してあって、しゃりんとした食感。

野菜が美味しいのは、冷やしてんぷらそばも。

きりりとした野菜と、さくっとした揚げたてのてんぷらと、そば。

ひと椀の宇宙をあっちこっち味わいながら、馬場の午後は深まっていくのだった。

酔った勢いで、ちょっと失敬。写真を撮らせていただきました。

いいでしょう。

この品書きの並びを見てると、呑みたくなる。お腹がすいてくる。

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# by aroyaroy | 2009-09-24 02:36 | 高田馬場

餃子荘 ムロ (3) ~中国料理の普遍的な美味しさのエッセンス~

餃子荘 ムロ (2)の続き。

この店の料理の、サムシング。

前から、その何かを説明したくてたまらなかった。

みなさん、小理屈が行ったり来たりする、このシリーズに、もう少し、お付き合いください。

そう、そのサムシング。

たとえば。

紹興酒のアテに、ちびりちびり舐めると最高な腐乳。

中国ソーセージの香腸。しかも、かなり美味しいヤツ。

これら、ちょっとしたものだけど、いかにも中国的なつまみ。

こういうものから食事がスタートすると、舌が、きっちり中国になる。

秋には、上海蟹の煮込みそばが出る。食べれば、大陸の季節感が押し寄せてくる。

春巻を注文すると、スイートチリソースがついてくる。

餃子用には、醤油と酢とカラシを混ぜたようなタレが出てくるが、春巻には、あえてスイートチリソースなのだ。

大久保あたりのタイ食材店などに行けば買える、普通のビン入りのヤツだが、まさに、こういうところがムロっぽい。

ムロの人たちは、中国料理や、東南アジアの料理の美味しさを、かなり体得しているんじゃないだろうか。

きっと、いろんなところを食べ歩いているに違いない。

現地の、本物の料理の美味しさを知っている。

なのに。

トムヤムクン炒飯なんていう、ある意味、タイ料理としては邪道な料理をメニューに入れている。

これもまた、ムロ的なのだ。

チャプスイという料理が、そのムロ的なるものの、シンボルのように思えてならない。

オリジナルの中国料理がアレンジされ、異国の地で変質した料理、チャプスイ。

古い料理名であるから、歴史が、その料理のありようというものを保証してくれる。

思えば、われわれが常日ごろ愛する、餃子、ラーメン、カレーライス、とんかつは、すべて外国料理が日本の地で変質し、大衆料理となった例だ。

ムロは、こういう大衆料理をこそ提供しよう、という意思を持っている。

そう感じる。

とはいえ、意思を持っている、という一点が、あたりまえに大衆的な他の中華料理店と決定的に違う。

その意思は、オリジナルの外国料理のことを、よく知っている、ということとも関係があるはずだ。

ムロの料理は、オリジナルに忠実な中国料理ではない、高田馬場の地で変質した大衆料理だ。

なのに。

中国料理の、普遍的な美味さのエッセンスにあふれている。

実は、これ、ものすごく得難いことなんじゃないか。

(この項、続く)
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# by aroyaroy | 2009-09-15 03:35 | 高田馬場

俺の空 ~ラーメン屋の行列、それは考えさせられる問題~

01年に開店し、とても美味しいので、通っていたラーメン店。

いわゆる魚と豚のWスープに、刻み玉ねぎのアクセントが新鮮だった。

新店だったせいもあるが、厨房にも無駄がなく清潔で、美味しいラーメンが出てきそうなオーラが濃厚に漂っていて、とても頼もしい店だった。

「豚そば」を注文し、麺を平らげたあと、残りのスープとともに「豚めし」をいただく。そんな自分オリジナルな食べ方を勝手に開発し、行くたび楽しんでいた。

しかし。

ある日、突然、店の前に長蛇の列。

入れない。

別の機会に行ってみる。

やはり長蛇の列。

なにか、異変が起きている。

聞けば、年末のラーメンランキング番組にて、第1位の店として取りあげられたことで、たいへんな行列店になってしまったのだという。

ラーメン屋の行列。

それは、ちょっと考えさせられる問題。

なんとなく、並びたくない。

ラーメン屋ごときに並ぶのはバカ、という、身も蓋もない意見もあるが、決して、そうは思わない。

食べたいなら、並べばいい。

並ぶのは、人の勝手である。並んでいる人間をバカにする必要はないし、並んでいるほうはバカにされたって、とにかく並んででも食べたいのだから、バカにする人間を相手にする必要はまったくない。

しかし。

やはり、並ぶのは、骨が折れるのだ。

それが10分やそこらなら、まだガマンできるが、30分、そして1時間ともなると、考えてしまう。

自然と、足が遠のく。

また、別の感情もわいてくる。

せっかく自分のお気に入りの店として、通うのを楽しみにしていたのに、それこそテレビ番組ごときのせいで、そのペースを乱された、なんとも言いがたい苦々しさ。

もちろん、店は儲かるからいいのだが。

くわえて、大勢の人間が群がる店には、かえって興味が失せてしまう。そんな、天の邪鬼な気分もある。

さらに、足が遠のく。

そんなこんなで、数年。

最近、たまたま通りかかったので覗いたら、あっさり入れた。

「豚めし」の文字が券売機になかった。

ラーメンの「掛け豚そば」が売り切れで、つけめんの「漬け豚そば」を注文。

昔の記憶が定かでないが、麺が変った気がする。

隣には、店先にワイン樽のテーブルを出した、最近オープンしたと思しき飲み屋があって、「俺の空」と並んで、なんとなくいい雰囲気を醸している。

同じ通りには、池袋で繁盛している「やきとん みつぼ」の高田馬場店がオープンして、ちょうど1年。

よさそうな店が集まる通りって、いいもんだ。

山の手線の線路脇が、庶民派うまいものストリート、になれば面白いと思う。

「俺の空」は高田馬場駅、戸山口を右に出て、すぐ。

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# by aroyaroy | 2009-09-14 00:05 | 高田馬場

餃子荘 ムロ (2) ~バクト。料理名の由来が知りたい~

餃子荘ムロ (1)の続き。

バクト。

このお店のモツ煮込みは、こう呼ばれている。

「バクト」、ってなんだろう?

博徒?

な、わけないか。

名前の由来が知りたい。

ふと、思い浮かべたのは、マレーシア中華料理の「バクテー」。

「バクト」と「バクテー」。

なにか、関係ありそうでしょ?

バクテーは、マレーシアの中国人が作り出したマレーシア発祥の料理で、土鍋で骨付き豚ばら肉を漢方系スパイスとともに煮込んだ庶民の定番。漢字では「肉骨茶」と書く。「茶」とあるが、お茶ではなく煮込み料理だ。マレーシアでは、なぜか、このボリューミーな一品が朝ごはんとしてよく食べられており、実際、これがあるとご飯が美味しい。ほんとうに、朝からご飯がすすんでしょうがない。

バクテーには、豚ばら以外に、臓物系が入る場合もあるから、バクトは、この料理が何らかの原型になっているんじゃないか。

あるいは。

マレーシア発祥の料理、と書いたが、マレーシアの中国人たちは福建や広東からやってきた歴史があるから、そのルーツは大陸中国にあるのかもしれない。それと、何らかの関係あるのではないか。

そんな想像をしたりする。

ただ、それをお店にたずねてみたことは、残念ながら、ない。

なぜ、こんな想像をするのか。

たとえば、メニューにはほかに「チャプスイ」なんて一品がリストされている。

チャプスイは簡単に言うと、肉野菜あんかけ炒め、のような料理で、アメリカ式中華料理と言われており、昭和元年創業の銀座アスターが日本に紹介したとのこと。

どうも、こういうのに弱い。

その起源に、物語がありそうな料理。

早稲田通りの西友前あたりにある、スワガットの項でも、インド式中華料理の「野菜・マンチュリアン」に注目したが、いわくありげな、この手の料理に、どうも惹かれてしまう。

すこし方向性は違うけれど、最近登場したメニューに、「トムヤムクン炒飯」がある。

日本で最も知られたタイ料理といえばトムヤムクンだが、このトムヤムスープの味をつけた海老入り(クン=海老)炒飯。もともとタイにはトムヤム炒飯(や、トムヤム麺)は存在しないはずで、いわゆる創作料理、というか、オリジナルをアレンジした料理だ。

タイ料理店にトムヤム炒飯があっても、まあ、普通な気がする。

しかし。

これがムロのメニューにリストされていると思うと、なぜかそそられるものがある。

この感覚、わかってもらえるだろうか。

さらに、食後の飲み物に、ベトナムコーヒーがある。

これも、ちょっと不思議だが、頷いてしまう感じがある。

たしか、お店の誰かがベトナム旅行から帰り、ベトナムコーヒーと専用のアルミドリッパーを仕入れてきたことがきっかけで、リストされたんじゃなかったか。

もうひとつ思い出した。

消えてしまったと思われるメニューに、「プーアール茶漬け」があった。

笑ってしまうが、そのまんま字のごとく、中国茶のプーアールのお茶漬けだった。

香港や、大陸の広州など広東あたりだと、ポピュラーなのは烏龍茶やジャスミン茶ではなく、プーアール茶だ。

その、お茶漬け(笑)。

うーん、考えたことなかった!

今はメニューにないと思うが、悪くなかった。

ムロらしい気がした。

(この項、続く)
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# by aroyaroy | 2009-09-12 05:01 | 高田馬場

ロブリーキッチン LOPBURI-KITCHEN ~アロイ・マーク・カップ!~

エキサイトのIDを「aroyaroy」にしているけれど、これ、タイ語で「美味しい!」という意味。

アロイアロイ!

そんなわけで、タイも、タイ料理も、大好きだ。

界隈には、すでに紹介済みの目白「D‐Four」ほか、馬場の「ボス」や「プリックタイ」など、タイ料理店がいくつかある。

そう。さかえ通りにも2軒、タイ料理店があった。

足をのばして、大久保、さらに歌舞伎町あたりまで行けば、いったい何軒のタイ料理店が営業しているのか、ほとんど把握できないほどに、多くの店が営業している。

90年代中頃の大久保で、タイ料理の味を覚えた。

「クンメー」や「マイロード」(閉店)に、よく通った。

当時の大久保は、本当に雑然として、猥雑な、アジアンタウンだった。

魅力的だった。

まだまだ韓流ブームもなかったし、タイフェスティバルもやっていなかった時代だ。

そんな時代のことを、なんとなく、思い出した。

この店で、食事したせいかもしれない。

ロブリーキッチン。

ロブリーはタイ中部の県。

でも、お店のお兄さんは、バンコク出身。

この人が、ひとりで料理して、サーブして、おしゃべりの相手ましでしてくれた。

これまで店主と店名は、何度も変っているが、タイ料理店であることは変らない、そんな場所らしい。

PCの動画を、壁の大きなスクリーンに映し出す。

ボブ・マーリーと、タイのロックンローラー、LOSOのビデオを見せてくれた。

注文したのは、

レバーの入ったトム・カー・ガイ(鶏のココナッツミルクスープ)。

濃い目の味付けのアボカドのヤム(タイ風のあえもの)。

具だくさんなカーオクッカピ(エビ味噌まぜ御飯)。

あと、生ビール。

気持ちよく、もてなしてくれて、ありがとう。

アロイ・マーク・カップ(とっても美味しかったですよ)。

早稲田通りと明治通りの交差点から、高戸橋方面に少し行った、右側。

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# by aroyaroy | 2009-09-09 04:37 | 高田馬場

スワガット (3) ~野菜マンチュリアンをめぐって~

スワガット(2)の続き。

早稲田通り、西友の向かいあたりのインド料理店、「スワガット」で、なんとかインド式中華料理にありつこうと、8月のある日、再訪。

例の、ハッカ・ヌドルと、野菜・マンチュリアン。

結局、メニューには掲載されていない。

うーむ。

でも、頼んでみた。

例の、あせり気味の、お店の男性。またまた焦っていたが、今日はできる、という。

出てきた料理。

ハッカ・ヌドルは、まあ、スパイシーな焼きそばだった。

「ハッカ」は「客家」だろうけど、この件はちょっと置いておいて、今回はこっちについて考えてみたい。

野菜・マンチュリアン。

実は、事前にすこし調べてみたのだ。

ゴビ・マンチュリアン。

と、呼ばれる料理が存在する。

南インド式中華料理として、わりと一般的なようだ。

「ゴビ」は、じゃがいもとカリフラワーのカレー「アルゴビ」の「ゴビ」で、カリフラワーのことである。

ゴビ・マンチュリアンは、カリフラワーに衣をつけて揚げ、トマトやチリのソースでからめた料理だそうだ。

かの、カレー伝導師、渡辺玲さんが、東京のインド料理店で食べたゴビ・マンチュリアンを紹介しているから、間違いない。

(※渡辺さんは「ゴービー・マンチュリアン」、と表記)

ふむふむ。

こういう料理なのか。

ゴビ~、ではなく、野菜~、だから、具はカリフラワーに限らず、じゃがいもや、にんじんなんかも混ざるのかな?

そんな風に、予想していた。

しかし。

意外にも。

出てきたのは、写真のような料理。

このブログ、料理の写真はアップしない。などとカッコつけたことを言っておりましたが、今回ばかりは説明のため、あげさせていただきます。

とろみのある醤油味スープに、たこ焼きが浮いている。

そんな、料理だった。

たこ焼き内部には、野菜のみじん切りが具として入っている。

美味しかった。

しかし、これは…。

インドに詳しそうな人の、こんな記述もある。

引用させていただきます。

マンチュリアンは、今回よくお目にかかりました。キャベツ、カリフラワーなどの野菜の細切れを、豆の粉(ベイスン粉)で団子状にまとめて、揚げたもの。野菜でできた肉団子風の料理で、しょう油味が多かったです。

あ、これ、そのものじゃないですか。

こういうのも、マンチュリアン、なのかもしれない。

でも、そもそも、マンチュリアン=満州風、ってなんだ?

満州と呼ばれていた、中国東北部の料理にルーツがある、とか考えるのは、ちょっと違うような気もする。

天津丼が天津に存在しないように、スパゲティ・ナポリタンがナポリに存在しないように、マンチュリアンも満州には存在しなかった。かも。

調べないと、正確なところはわからないけれど。

インド人がイメージする、なんとなくチャイナ。

それが、マンチュリアン。

そんな感じ?

でも、なぜ満州?

まだ読んでいないが、こんな本が、参考になるかもしれない。

時は、インド独立以前にさかのぼる。

インド独立運動家であり、日本のインド料理にも大きな影響を与えたという「中村屋のボース」こと、R・B・ボース。

同じく独立運動家で、銀座に「ナイルレストラン」を開いたA・M・ナイル(あのナイルさんの、お父さん)。

彼らは、インド独立を目指すにあたり、イギリスに対し、日本と「皮肉な」共闘関係にあったという。食文化において、ボースやナイルのような当時のインド人にとって、大日本帝国が経営する満州が、身近な中国であった可能性はあるかもしれない。A・M・ナイルは奥さんと満州に渡り、かの地に暮らすインド人と交流もしたという。

うんうんうん。

アジアの歴史と食文化の根幹にかかわるであろう大テーマについて、遠い目で思いを馳せつつ、ひとりで悦に入りながら1本250円の激安コロナビールをおかわりしているうち、ずいぶんと酔っぱらってきた。

焦り気味の店員さんが、やってきた。

もっと早く来てよ、金曜日、時間早い、ダンスある、ベリーダンス8時から、早く来ればダンス見られる、ベリーダンスね、金曜日もっと早く来る。

あ。金曜日はベリーダンスの日だった。

時間が遅かったので、もう美人ダンサーは帰ったあとだった。

残念。

みなさん、スワガットのベリーダンスナイトを盛り上げましょう!

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# by aroyaroy | 2009-09-07 02:06 | 高田馬場